温暖化ガスのひとつである、亜酸化窒素または一酸化二窒素の問題も、農業としては対策をして行かなければいけない分野です。亜酸化窒素は、窒素酸化物のひとつで、紫外線で分解されると一酸化窒素に変わります。これが、オゾン層を破壊している原因のひとつであることがわかっており、医療目的以外では使用禁止となったのです。

この亜酸化窒素が発生するプロセスは、肥料などにあります。化学肥料や有機物資材としてまかれた窒素が微生物によって分解され、その副産物として亜酸化窒素が生まれてしまうのです。ここにあるのが硝酸化反応で、抑えることが急務とされ、硝化抑制剤を使うようになり、効果を上げるようになりました。硝化抑制剤に関しても、もともと作物の窒素利用効率の向上のために使われていたもので、問題があるものではなかったという点が救いだったともいえるでしょう。生産効率を向上させつつ、亜酸化窒素の発生を抑制することができたのです。

この硝化抑制剤の効果は、トウモロコシ畑でも効果が確認されています。食用だけではなく、バイオマスに活用されることが多いトウモロコシですので、ここから温室効果ガスを削減できるということは、大きな意味があるといえるでしょう。

温室効果ガスのひとつとして、メタンの問題があります。農業分野で考えた場合、水田がメタン発生源であることがわかっており、対策が必要となったのです。

なぜ、水田からメタンが発生するかといえば、作付前に水を張ることによって、土壌を還元状態にしなければいけません。この時に、メタン生成菌が活動を活発化させ、有機物を分解していきます。これがメタン発生量を増加させるプロセスです。有機物の中でも新鮮な有機物ほど発生量が増えることがわかっています。そこで、水を張るまでの期間を長くしたり、ワラのすきこみをたい肥のすきこみに変えるというだけでも効果を上げることができるようになったのです。特に水田・小麦の二毛作の場合、小麦わらによって多量のメタンが発生します。中国などでは、こうした二毛作が多く、対策を施すことによって、大きな効果を得られることもわかっているのです。

この方法の場合、水を張るまでの中干しの期間を長くすることによって、収穫量が玄米ベースで4%低下することもわかっています。逆に登熟歩合やたんぱく質含有量が増え、品質は向上することになるのです。食糧供給ということではデメリットが多い方法になる可能性もありますが、日本のように米に品質を求める地域であれば、効果を上げることができるといえるでしょう。

農業分野から排出される温室効果ガスは、いろいろな経路があります。その中でも、土壌そのものから排出されるということに注目しなければいけません。農業分野が、温室効果ガスの削減に役立つといわれるのは、こうした土壌から排出されるものが多いからです。

生態系ということを考えなければいけませんが、植物は光合成とともに二酸化炭素を吸収し、根や葉を形成して行きます。植物は二酸化炭素を分解しなくしてしまうのではなく、有機物として炭素を利用し成長するのです。この植物が枯れて土に戻るとき、地中の微生物が分解し、二酸化炭素として空気中に戻します。この量が釣り合っている状態を作ることが、カーボンニュートラルと呼ばれる状態です。

ところが、実際には温室効果ガス減として、農耕地への窒素施肥や家畜の排せつ物があります。農業分野での対策を進めるということが、温室効果ガスの削減を考えた場合に重要になってきているのです。

特に、農耕地を作るために森林伐採をおこなうという、農作地拡大の問題もあります。農業を振興するあまり、林業を捨て農業にシフトし続ければ、農作地を確保するために伐採をすることになるでしょう。こうした問題も、農業分野の温室効果ガス対策として、グローバルに考えていかなければいけない問題なのです。

二酸化炭素を含め、温室効果ガスの削減が求められています。京都議定書以降、国際的な構築が進められてきているのです。その中で、日本も大きな削減を求められ、おこなう立場になりました。

日本での温室効果ガスの排出を見てみると、工業分野での排出が大半を占めることは間違いありません。農業分野の排出量は、産業としてみると大きな割合ですが、農林水産ということでは全体に対して決して大きなものではないのは確かです。ですが、地球環境の温暖化ということに対して大きな影響を受ける分野として、対策していく必要があるでしょう。

農業分野に関して考える場合、これから先、人類が乗り越えなければいけない問題を忘れてはいけません。人口の急激な増加により、21世紀中ごろまでには、人口が90億人にも達するという試算があります。この人口に対して、飢餓を起こさない十分な食糧供給ができるのかという問題があるのです。さらに、食糧供給のために農業を拡大させることにより、山林が失われ、二酸化炭素の吸収量が減り、温暖化を加速させるであろうと考えられています。お互いに強い関係があり、農業分野において温室効果ガスを減らしていくことが大きなポイントになることがわかるでしょう。

農業分野の温室効果ガスの削減方法はいろいろとあります。日本で取り組が、世界に役立つように研究も進められている分野です。世界で見れば、農業分野の温暖効果ガス排出量は、日本の割合とは異なり、全体の1/3にもなります。これだけの量を輩出しているのですから、対策を進めていかなければいけないでしょう。